循環

 

誰かに 教わるでもなく
知っていた 嘘のつき方
体のなかで蠢く畜生どもなど
笑顔で塗り潰せばいい

どれだけ 透き通ってみえる
ひと掬いの水でも
一滴の絵の具が垂らされていると
知ればもう 飲めやしない

絵の具まみれの 体じゃ
あなたのもとへ ゆけない

欠けだらけの心
あなたが触れたところから
血が流れて みたしてゆく
だれにも汚されることのない
あなたの血が


毎日を ただただ浪費して
うすい靄のなかに生きる
わたしに流れる血は
誰の血だ どこから流れる

こびりついた絵の具
その手が触れたところから
赤く赤く染まってゆく
ひとつも汚されることのない
あなたの血で


どれだけ 不幸ぶってみても
あなたは 救い出してしまうね


欠けだらけの心
あなたが触れたところから
血が流れて みたしてゆく
誰にも汚されない あなたの血が
あなたの血が

他の誰のためでもなく
あなたがわたしのために流した
血が巡り つくりかえてゆく
この体にも流れている

誰にも汚されることのない
ひとつも汚されることのない…