そよ風と透明人間


はらり はらり 頬に触れる温度

思いのままに吹くそれが

何処からきて 何処へゆくのか

今日もわからないけれど


赤子のときから その手に感じた

生温さの存在を 疑ったことなど

ありませんでしょう


わたしにみえない あなた

手を伸ばしても 掴めないけれど

あなたがわたしに 触れたから

やっと見つけたの



ひゅるり ひゅるり 耳を抜ける速度

自由気ままに吹くそれが

何処からきて 何処へゆくのか

今日もわからない


わたしにみえない あなた

そこにいるのは わかってるけれど

わたしの弱い心は

あなたの僅かな息遣いも

聞こえないふりする



わたしにあなたは みえないけど

誰よりも優しい その手だけが

わたしの心をみたすこと

ほんとは知ってるの


わたしにみえない あなたを

わたしが見つけたと思ってたけど

あなたは最初からずっと

ずっとわたしのそばに

そばにいたんだね



はらり はらり 瞼撫でる温度

思いのままに吹く風は

何処からきて 何処へゆくのか

今日もわからない